少年メリケンサック〜時代がパンクを求めてる〜

Toshizo

2009年03月03日 11:33



待望のクドカン最新作、観て来ました。

かんな(宮崎あおい)は、メジャーレーベルの音楽事務所のダメ契約社員。
新人発掘担当だが、全く実績を挙げられないまま、契約期限を間近に控え、ダラダラと毎日を過ごしていた。そんなある日、ネット動画で「少年メリケンサック」という名のパンクバンドを発見!
さっそく事務所のホモ社長(ユースケサンタマリア)に報告すると、社長自身が昔パンクをやっていたこともあって大乗り気。
その動画をネットで配信すると同時に、かんながバンドメンバーとアポを取ることに。
ネットで流しただけで「少年メリケンサック」の人気が爆発し、一気に10万アクセスを突破。それに気を良くした社長は早々と全国銃弾ツアーを企画してしまう。
その頃かんなは、バンドリーダーのアキオに連絡を入れ、会いに行くが。。。

そこには中年の飲んだくれ親爺(佐藤浩市)が。
なんと、かんなが発見した動画は25年前の「少年メリケンサック」ものだったのだ。
ツアーチケットはすでに完売。
後戻り出来ないかんなは、バンド再結成に奔走する。
プライドだけは高いベースのアキオ、アキオの弟で今は酪農を継いだギターのハルオ(木村祐一)、喧嘩っ早い元ヤンキー、モヒカンのドラム、ヤング(三宅弘城)、解散ライブ時の事故で車イス、言語障害の残るボーカル、ジェニー(田口トモロヲ)。
満足に演奏すら出来ない彼らだったが。。。
アキオの「奇跡を見せてやろうじゃねぇか」の意気込みを信じ、全国縦断ツアーの幕が切って落とされる。

果たして奇跡は起こるのか?


今なぜ「パンク」なのか?
「パンク」とは、そもそも何だったのか?

「パンク」とは「衝動」。
何かをしたいが何をしていいのかわからない。
モヤモヤとした気持ちを発散出来ない。
そんな時、とにかく「衝動」に突き動かされるままに「行動」すること。
それが「パンク」だ。

現在の閉塞状況を打破するのは「パンク」しかない。
とにかく「衝動」のままに「声」を出せ。カラダを動かせ。
上手いとか下手だとかは関係ない。
頭で考えずにカラダを動かせ!
沸々と湧いて来る熱いモノを衝動のままに解き放て!
それが「パンク」だ!

若者だろうと中年だろうと、年齢なんて関係ない。
動き出した時、そこからが青春だ!
「青春とは、ある年齢を差すのではない」
若かろうと、何もしない奴は「青春」を生きていない。
中年だろうと、老年だろうと、何かを求めてひたむきに行動する時、それが「青春」だ!

この貴重なひとときに僕たちは、何かをしないではいられない。
この貴重なひとときを僕たちは、青春と呼んでもいいだろう。
青春は二度とは帰って来ない。
みなさん青春を。。。今このひとときが僕の青春。

吉田拓郎の「青春の詩」の一節を思い出した。


この映画は、若者にも中年にも平等に「勇気」と「元気」をくれる。
そっと背中を押してくれるような映画ではない。
強引にステージに引っ張り上げられるような映画だ。
この映画そのものが「衝動」と言ってもいいだろう。

もちろんクドカンギャグも満載で、笑えて、考えさせられる。

田辺誠一演じる「Gackt」のパロディ「SINYA」や、息子に言わせると、「アジカン」のパロディ「ジェネレーションオブアニメーション」、ジャニーズ系のパロディ「少年アラモード」など、皮肉ったキャラが続々登場する。

クスリにも毒にもならないような、無味無臭の音楽を垂れ流すだけの、今の日本の音楽シーンを笑い飛ばす、痛烈な批判映画にもなっている。


とまぁ、力をいれた感想になりましたが、

宮崎あおいが可愛い〜。
くるくる変わる喜怒哀楽の表情。コメディエンヌとしての魅力を再発見出来ます。

佐藤浩市、ダサかっこい〜。
ダメ中年が本気出した時のかっこよさ。この役はこの人しかいません。

これだけでも充分観る価値のある映画ですので、是非お気軽に。

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