2009年01月21日
容疑者Xの献身〜原作で解けなかった謎〜

続いて邦画第4位。
ドラマの「ガリレオ」も見ていたし、原作も読んでいたので、なんとしても観たい作品でした。
この西谷弘監督、デビュー作の「県庁の星」もなかなかよく出来ていたので期待して観ました。
これが評判通りのいい出来です。
驚いたのは、原作を読んだ時に解けなかった最大の謎「作者は何故、科学捜査専門だった湯川にこんな人間臭い事件を扱わせたのか?」が、映画を観て見事に腑に落ちたことです。
注/ここからはネタバレになります。
数学者と物理学者という超論理的思考な二人が直面した究極の「謎」。
それは「恋」や「愛」「幸福」という論理的思考では決して答えを導き出す事の出来ない事象だったのではないでしょうか?
容疑者の犯行の「動機」。
最後の最後まで残された「動機」の「謎」。
母と娘の慎ましやかな幸福に寄り添う事で初めて生きる喜びを知った容疑者。
それを壊したくないが為の「献身」「犯行」。
湯川にとって理解しがたいその「謎」が解けた時、彼は数式や化学式では絶対に導き出す事ができないものがこの世に存在することに気づきます。
つまり作者は、湯川に論理的思考の先に「幸福」はないということに思い至らせたかったのではないでしょうか。
情緒の欠落した人生のなんと味気ない事か。
「作者は何故、科学捜査専門だった湯川にこんな人間臭い事件を扱わせたのか?」その答えを原作以上に鮮やかに見せてくれた作品でした。
Posted by Toshizo at 10:13│Comments(0)