2009年01月26日
ノーカントリー〜緊張感溢れるアメリカの狂気〜

2008年度洋画マイベスト1。アカデミー賞作品賞を取った作品。
賞の常連コーエン兄弟の真骨頂ともいうべき、何とも不思議な余韻の残るサスペンス映画だった。
時は1980年代アメリカ。偶然麻薬取引後の銃撃戦でギャング同士全員死亡している現場に出くわし、大金をくすねて逃げる男と、大金を取り返そうと追いかける謎の殺し屋の行き詰まるような追いつ追われつの追跡劇。
そこに事件を知った老保安官が絡み。追跡の途中虫けらのように次々と邪魔者を消していく冷酷無比な殺し屋。果たして男は逃げ切れるのか?
とにかく、いとも簡単に人が殺されていく映画だ。
殺し屋役で助演男優賞を取ったハビエル・バルデムがスゴい!ジェイソンやターミネーターに匹敵するほどの強烈なキャラだった。
銃弾を受けた怪我を自分で治療するシーンなど「ターミネーターのパロディ?」とも思わせる。
実際この映画、リアルターミネーターと言ってもいいぐらいの娯楽作とも取れるし、アメリカの銃社会に対する批判的な社会派ドラマとも取れる。
トミーリージョーンズの老保安官の「ぼやき」が、古き良きアメリカの終焉も感じさせる。
何よりアカデミー作品賞を取っただけの作品なのだから、単純な娯楽作品のはずがないとも思える。
「いい映画はたくさんの答えを用意しているものだ。」とパンフにあったが、まさにその通り。
観る人の観方によって、全く違った映画に見える。
なんとも不思議な映画だ。
それこそがコーエン兄弟の狙いなのだろう。
それにしても最初から最後まで、ずっと銃口を突きつけられているような「緊張感の持続のさせ方」は並の監督ではないなと、あらためて感心した。
Posted by Toshizo at 10:12│Comments(0)