2009年02月18日
チェンジリング〜人間そのものを描くということ〜

クリントイーストウッド監督、期待の新作。
試写会で観て来た。
ある日突然、消えた息子。
5ヶ月後に帰って来た彼は別人だった。
この子は誰?私の子どもはどこへ?
1928年、ロサンゼルス。
魂で泣く本当にあった物語。
どれだけ祈れば、あの子は帰ってくるの?
このチラシの宣伝文句を読んで、どんな映画を想像するだろう?
お涙頂戴の母子の愛情物語?
を想像すると、違う。では
魂が入れ替わるホラーサスペンス?
人格転移のサイコサスペンス?
社会派の陰謀ミステリー?
う〜ん、そのどれでもない。
イーストウッド監督が、そんな一筋縄でいく映画を撮るはずが無い。
これは「とんでもない」映画だ!
母子の感動物語であり、警察の不正・腐敗告発映画でもあり、実録連続殺人鬼モノでもあり、どんでん返しミステリーでもある。
これらの要素がすべて詰まった、もの凄く「とんでもない」映画だ。
ズッシリと重く観る者にのしかかってくる映画だ。
2時間20分、息をつく間もなく、たっぷりと「人間ドラマ」を見せてくれる。いや「人間そのもの」を見せられたというべきか。
「人間」の「愛情の深さ」「猾さ」「醜さ」「怖さ」「罪」「信念の力」「正義」ありとあらゆるモノをこれでもかこれでもかと、胸をえぐるように見せつけられる。
前述の宣伝文句に騙されてはいけない。あんなモノはこの映画のほんのさわりの部分しか表現出来ていない。
観ていない人には全く何のことかわからないだろうから、ストーリーに少し触れてみよう。
1928年ロサンゼルス。クリスティン・コリンズ(アンジェリーナジョリー)は、9歳の息子、ウォルターと二人で平和に暮らしていた。
しかしある日突然、息子が忽然と姿を消す。
警察に捜査を依頼するも、全く本気で捜索してくれない。
そして5ヶ月が経って、警察から知らせが入り、息子が帰って来る。
しかし、息子を名乗る少年は全くの別人だった。
それは手柄を挙げたい警察の「でっち上げ」だったのだ。
警察は、我が子ではないと主張する母の言葉を黙殺するばかりか、強制的に精神病院に入れ、我が子と認めるまで退院させないという卑劣な手段を取る。
そんなある日、不法入国していたひとりの少年が逮捕される。
そしてその少年の口から、前代未聞のアメリカ犯罪史上最悪の連続少年誘拐殺人事件が語られることになる。
警察はウォルター少年も含む消息不明の少年の写真を彼に見せる。
誘拐された人数は20人以上。数人は逃げ延びているらしい。
果たしてウォルター少年の消息は?
やがて犯人が捕まり、事件の全貌が明らかになるかに思われたが。。。
過酷な運命は、まだ始まったばかりだった。
アンジェリーナジョリーが、まさに主演女優賞モノの熱演を見せる。
本当に涙が枯れ果ててしまったのではないかと思えるほどの、やつれ果て振りがスゴい。
それでも尚、息子の生存を信じ続け、警察の不正とも戦い続ける。
こんな役は10年に1度、彼女にとっては演技開眼のまたとないチャンスだったろう。
クリントイーストウッドの「人間」を見る目の鋭さ、深さも感動モノだ。
「ミリオンダラーベイビー」以降、1作毎に凄みを増していくようだ。
そいてついにここまで来た。
これほどまでに「人間」が描かれた映画は、ちょっとないだろう。
すでに本年度ナンバー1に間違いない。
これは是非、劇場でじっくりと、腹をくくって観て欲しい映画だ。
恐らく大多数の人の想像を遥かに超えた、とんでもない映画だ。
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Posted by Toshizo at 09:56│Comments(0)
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